2003年6月 6日
顧客志向の製品開発は、正しいけれど、つまらない
http://blog.cnetnetworks.jp/umeda/archives/000396.html
お馴染み梅田氏のコラム。
先日Track Backしたときの「全く個人的な話ですが、ありがちかもしれませんが、ぼくはAppleとGoogleが好きなのです。」というコメントを紹介して頂きました。ありがとうございます(急にアクセス数が増えていたので、2chにでもさらされたのかと思いました)。
さらにコメントまで。
この1行の文章に、僕も強く共感する。コンセプトとテクノロジーの圧倒的な個性とパワーで、顧客をぐいぐい引っ張っていくアップルやグーグルのような会社には、その製品ゆえに「会社を愛する」熱狂的な顧客が生まれる。
Jobsは、Macworldで基調講演を見ていると、自分でも不思議なほどに興奮状態にさせられてしまいます。後から冷静になると、なんであの発表に興奮したんだ、と思うんだけれども。ある種、ロックバンドのような雰囲気を感じる。かつてギル・アメリオの基調講演を日本で見たことがありますが、やはりJobsのそれとは異質なものでした。Appleは、Jobsがいてこそ、ですね。
ただ、ぼくがずっとAppleを見てきて最近感じているのは、相変わらず「technology-driven innovation」な会社でありJobsは「Vision-driven」なんだれど、「熱狂的な顧客」を今でも生み続けているかというと「どうなんだろう?」と思うことがしばしばあるのです。逆に信者ばかりを集めた結果が、かつての失敗に繋がっていて、それを反省してできるだけ普通の人たちにアプローチするような戦略の結果、数年前のような「熱」は感じなくなっています。「熱狂的な顧客」にとっては、今のAppleは少し物足りないのではないだろうか、と熱狂的だった自分としては思えるのですが。
こうして思うと、自分が熱狂していたのはAppleの発表するテクノロジーであったりコンセプトであったりした訳なんですが、それと同時になんとなく刹那的なはかなさのようなものも感じていたのかもれません。綱渡り感とでも言えましょうか。今はその綱渡り感を表に出さずに、うまいことやっているのかもしれません。逆にぼくには、それがちょっと物足りなく思える、なんて勝手なことを思っている訳ですが。
でも、iPodを出したり、iTunes Music Storeで業界を変えたり、相変わらず革新的な会社であり、希有な存在であることに変わりはありません。Mac OS Xだって、UNIXだと思うとかなり刺激的です。
Intuitも尊敬に値する会社であることは間違いないのだが、やっぱりシリコンバレーは、顧客の横でソフトの使い方をじっと観察するなんて「そんなことやりたくねぇよなぁ」と思う凄腕エンジニアたちが、顧客をびっくりさせ、そして感動させる製品やサービスを生み出すために存在しているのだと、僕は思いたいのである。
ブルーハーツに「ブルースを蹴飛ばせ」という曲があったのですが、その歌詞の一節を思い出しました。
やりたくねえことやってる暇はねぇ