2003年10月 1日
CNET Japan フォーラム「テクノロジー・ビジネス・トレンド 2004 」
CNET Japan フォーラム「テクノロジー・ビジネス・トレンド 2004 」に参加して参りました。個人的にはGoogleのストラップを頂けたので嬉しかったです。あと、生山岸編集長のお顔も拝見させて頂きました(男前ですね)。
さて、どれほどみなさんのお役に立つか分かりませんが、メモ程度のレポートをお送りします。
■オープン水平分業時代の企業戦略(末松千尋)
この講演タイトルからはお恥ずかしながら具体的な内容を推察することはできなかったんですが、実際にお話を聞くと大変興味深いものでした。ITの考え方をビジネスに当てはめていこう、というお話で、企業はよりオープンになっていく必要がある、ということだったと思います。
オープンな企業の代表例としては、GoogleやAmazon、フェデックス、ヤマト運輸などを挙げられていました。個人的には、餅は餅屋に、ということだと勝手に解釈させて頂きました。OSであったりERPやSCMであったりも、餅屋に任せましょう、と。そして、その上のサービスなどで競争をしていきましょう、と。
ただ、そう考えると楽天はなんとなく旧来の方向に進んでいるような気もしますが、いかがなものなのでしょうか。それとも“ポータル”という括りで考えれば正解なのでしょうか。
ただ、オープン化に対して現在の日本では抵抗勢力があり、オープンにすることはタブーとなっているそうです。クローズドで利益を得ている人たちがその抵抗勢力にあたる訳ですが、正しく日本の構造そのものだと感じました。
ちらっとOpen Contents ManagementとしてWeblogは素晴らしい、というお話もあったり。
■Google、その舞台裏
Googleは村上社長が講演されていましたが、個人的にはちょっと期待していたものと違いました。基本的にはこれまでCNETなどでも取り上げられている一般的な内容であり、舞台裏まで踏み込んだような内容ではなかった気がしました。ただ、村上社長自身も「あまりクローズドな会社ではないので舞台裏はないかも」とおっしゃっていたので、そういう意味ではその通りかもしれません。ちなみに、資料から逆読みされることが多く、今回はレジュメの類はありませんでした。「検索エンジン専業で頑張ります」というと「実は裏でポータル狙っているだろ」とか思われるんだそうです。
講演の中で気になったキーワードは「リリバント(Relevant)」で、頻繁に使われいました。意味合いとしては「適切な」ということで、情報とユーザを「Relevant」に結びつけることがGoogleのミッションだそうです。広告に関してもそうですね。
数値的なところでは、75%の日本語検索ユーザがGoogleを利用しているんだとか。
あとは最後にGoogleの舞台裏(会社内)についてチラッと紹介があったんですが、社員は自分たちのことをGoogler(グーグラー)と呼んでいるそうです。
・働き場所が生活の一部として居心地がよく、楽しい空間でなければダメ
・家に帰らない人が多く相当数の犬が社内にいる
・アイアンシェフ(アメリカ版料理の鉄人)で優勝したシェフがランチやディナーを給食している
・金曜日はバンドが入る
■Amazon Webサービスのテクノロジーとビジネス戦略
アメリカからテクニカル・エヴァンジェリストのジェフ・バー氏が来日し、同時通訳付きの講演でした。個人的に一番満足した講演でした。
Amazonの沿革の説明でビジョンが紹介されたんですが、Googleもそうですが、このようなビジョン・ミッションというのは重要ですね。何か迷うようなことがあればそこに立ち返り、価値判断の基準として有効に機能すると思いました。逆に複雑なものではなく、シンプルなものが判断基準としては良さそう。ただこれも、常日頃から会社のトップが意識してこれを価値基準として使用しないと、ただのお題目となって全く意味のないものになってしまう恐れもあり。座右の銘じゃないけれど、自分たちのミッションをシンプルな言葉で語る、というのはとても重要かもれないと改めて認識いたしました。
AWSに関する説明なので、興味のある人とない人がいるかと思いますが、Amazonはますますオープンな方向に進んでいるということが実感できました。餅は餅屋ではないですが、外部のサイトのプロダクトの管理、受注、出荷をしっかりとこなせる仕組みが構築されているんですね。
例えば、ココなどは、裏でAmazonが動いているとは感じさせないほどです。他にも国内の事例としてミツカッタ.comやアスキーデジタル用語辞典が紹介されました。アメリカの事例としてsimplest-shop.comが紹介されましたが、可能性を感じる事例でした。
Movable Typeを利用している人にはAmazonのアソシエイトになっている人も多く、けっこう関心が強い分野だと思いますが、Amazon WSからは目が離せないな、と思いました。
■PCからデジタル家電へ広がるMacromedia Flash
最後はFlashに関する講演でした。凄いデモをいくつか見せてもらったんですが、そういうのを見る度に「いくらかかるんだろう」とか「これを作れる人は日本に何人くらいいるんだろう」とか、そんなことが気になってしまい、少し遠い国の話に感じてしまいました。
思ったのは中途半端に使ってはダメで、いくところまで、とことんいかないと、Flashの良さは出ないのではないかと。
Flashプレーヤーが家電に搭載されつつあるというのは興味深い話でした。ブラウズする環境に合わせて構築する必要がないので、ワンソースでいろいろ環境に対応できるのがメリットというのも納得です。今年のアメリカのクリスマス商戦では、子供用の玩具にFlashプレーヤーが搭載されたりもするそうです。もう完全にWebを飛び出して、違う次元に到達しつつあるようにも感じました。
以上、簡単ではありますが‥‥と言いつつ、書くのに30分もかかってしまった。また機会があれば、是非参加したいと思う良いフォーラムでした。
P.S.御手洗さんにご挨拶できれば良かったなぁ、と思いつつ。