2004年4月20日
Search Engine Strategies 2004 Google基調講演レポート
本日、午前中に新宿NSビルにて開催されていたSearch Engine Strategies 2004 Google基調講演を見てきました。会場自体はNSビルのホールを半分に仕切れ、半分をカンファレンス会場、半分を展示会場として使用していたのですが、基調講演中に大きな笑い声がしばしば聞こえてきたりして残念でした。
また、事前に予約申し込みを受け付けていたにも関わらず会場は大混雑。30分前に到着した時には既に席が無く、プレス席を一般用に解放されようやく座ることができましたが、定員の倍くらい(以上?)の人が訪れていたようで、かなり多くの立ち見が出ていました。定員が決まっているからと、余裕を持って直前に到着した方はかなりがっかりされたのではないでしょうか。この辺は来年以降に改善されることを希望します。
ちなみに、会場ではGoogleオリジナルのノートが配布されていました。
基調講演が開始される前に、1分間のVTRが流されました。いわゆるGoogleのプロモーションビデオのような内容ですが、Googleの社内の様子を交えつつ、セルゲイとラリーの写真が登場し、どのような名前にするか悩んだ、というストーリーです。恐らく初期の開発者が7人くらい並んでいた写真が登場したのですが、Appleと激しくダブって見えました。
基調講演を行ったWayne Rosing氏も、かつてはAppleのリサチームにいたということなんですが、GoogleのカルチャーとAppleのかつてのカルチャーは非常に良く似ているのかもしれません。まだ見ぬ地平を切りひらく冒険者たち、というイメージがAppleにはあったのですが、Googleもある意味では共通しています。業界は異なりますが、イノベーターであること、カルチャーとして認知されていること、天才が集っていること、カリスマがいること、などを考えると、非常に良く似ているかもしれません。
ただ、違うのは、Googleはマネージメントができる人を最初から雇っていたということでしょう。Appleはそこに失敗し、Jobsが一回り大きくなって戻ってくることで、再び成長の道を歩むことができるようになった訳ですが。
さて基調講演ですが、スピーカーは副社長のWayne Rosing氏で、Googleの過去と未来について語りました。終始、手元のメモを読みながらの講演でしたが、落ち着いた話しぶりは信頼感がありました。
以下はメモを基に構成します。
Googleの始まり:
スタンフォード大学から始まった。
他の研究室からコンピュータを借りてきたり、倉庫から持ってきたりしていた。
世界中の情報を整理しアクセスできるようにするのがミッション。
適切性:PageRank
1998年当時はどの情報が重要かが問題だった。
数学的な考え方を用いてイノベーションを起こした。
PageRankと100以上のアルゴリズムで計算している。
シンプルなことがしても重要である。
高速よりも良いのは「より高速である」という考え方。
包括性:←ビジョンの一つ
高速に変わるサイトはすぐにVisitする。
世界中の情報を入れるコンピュータとディスクスペースは持っている。
実は最高の検索結果は広告と思うこともある。
現在のGoogle:
世界最大の検索エンジンとなった。
電気のあるところにGoogleがある。
(夜の世界地図に灯りが点っている画像を紹介。明るいとところから検索されていることを説明し、チリの先端にある研究所からもアクセスされているという話を披露)
検索の半数以上は国外から。
検索における革新:
バイアスのかかっていない検索結果である。
・新鮮
・迅速
・質の高い広告
ユーザへの革新:フリー検索
フリー検索を提供している。
Blogger
グローバルで自分でパブリッシングできコメントで参加することもできる。個人にパワーを与えるツールである。
Gmail
高度な検索。
整理整頓することなく、必要なメールを見つけることができる。
Google Lab.
イノベーションが全ての心臓部である。
個人がアイデアを思いつくことが多い。
アイデアに関して「Yes」と言える社風にしたい。
検索広告における革新:
正しい広告こそが最高の検索結果であることもある。
なぜメールサービスなのか? → 検索の次に用いられているから。
検索の将来の革新性:
優れた人たちは優れたアイデアを持つ、という考え方。
渋谷にGoogle東京研究開発センターを開設すると発表。
今夏より大学院生のインターンを募る。
以上、基調講演は約30分で終了です。続いて、約20分間の質疑応答が行われました。
■日本におけるローカルサーチの計画は?
間もなくアメリカから拡大する予定だが、詳しい日取りは分からない。
■数ヶ月前に発表されたコンテキストセンシティブサーチ(?)の進捗は?
セマンティクスに基づいた検索ができるようにしたい。パーソナライゼーションに関しては初期段階なので、プライオリティーは低い。
■Gmailのプライバシーの問題はどう考えるか?
コンテントターゲットで広告を出すので、ユーザのログはとっていない。問題はないはず。
■東京研究開発センターについて、規模や所長は?
数字は決めていない。早い段階で数字を決めるのは間違いだと思う。
カントリーマネージャーが運営することになるが、最初は私が指導する。
■株式公開の予定は? それにより戦略が変わることはあるか?
話せる立場にない。長期的なゴール(世界中の情報にアクセスできるようにする)があるので、戦略が変わることはない。
■携帯電話のサービスは? サポート拡大の可能性は?
ブラウザがいろいろな機器に広がっているのはチャンスと捉えている。
■日本でのキーワード広告について商標権、著作権はどうか?
法律を遵守する。
(日本の佐藤マネージャーが登場し)日本での商標権を考慮する、とコメント。
■Gmailなど英語サービスの日本語化の予定は?
計画を作成中。やる予定。
■研究開発センターは日本市場向けの開発を行うのか?
ローカライズもするが、プライオリティーが高いのは日本語での検索の質を高めること。
■Google File Systemから見たソニーのCell Computingは?
分からないので答えられない。
■データセンターの規模は?
具体的には話して、かなりある。地理的にも分散している。インテル、RedHat。