2004年8月23日
検索エンジンが回答エンジンになるとき
インターネットのユーザ体験は、ウェブサイトを本当に「訪問」するのではなく、ほんのちょっと覗いてみる程度になってきている。検索エンジンをウェブのインターフェイスとして使うことにより、人々は探しているものに関連した情報だけを抜き出し、サイトを本質的には使わなくなってきているのだ。
なんでこのサイトは青い背景に白文字なんでしょう。目がチカチカします。
それはさておき、検索エンジンの進化により「訪問」ではなく「ほんのちょっと覗いてみる程度になってきている」というのはその通りかもしれませんね。上位表示されているページで、しかもほんのちょって見るだけ。情報提供者からすると、悩ましい問題ではありますが。
記事では「ユーザの答えを検索するというトレンドを受け入れなければいけない」としています。その方法として次のようなことが挙げられています。
・つまみ食いユーザは統計的に見るべきでないということを認識すること。このようなユーザは、サイトを利用するのではなく、答えを探して 1 ページだけを見ている。サイトを成功させるには、彼らではなく、常連ユーザを指針にすること。
・ハエトリガミ・コンテンツを提供する。このようなコンテンツはユーザを呼び込む。一般的な問題に対する、絞り込んだ的確な答えを提供しよう。このようなページは検索エンジンの最適化でよいパフォーマンスを発揮しなければいけない。明確な見出しを書くことを心がけよう。
・「こちらも参照」リンクで豊富に答えを飾ること。関連するコンテンツやサービスへのリンクを設けておくのだ。グローバルナビゲーションでは、答え探しをしている人が無視するだけなので、役に立たない。彼らはサイト自体には興味がないのだ。だが、コンテキストリンクであれば、熱心なユーザは深く掘っていく。そして、彼らこそが、課金サービスの見込み客として逃したくない人々だ。参照リンクは文中に埋め込むこともでき(私がこのコラムで行っているように)、記事の最後に置いてその後のアクションのための補足とすることもできる。後者は、ただ単に情報提供しているだけではなく、実際に商品を売っているということを示すことができる。
・純粋な情報以上のものを提供して、分析や洞察を、できれば独自の視点と印象的な個性をもって、自分の立場を明確化する。一部のユーザはその視点からの意見に興味を示し、探していた答えを見つけた場合でも、さらなる情報をほしがるだろう。
・ニュースレターを発行し、補足情報や有用情報を提供する。電子メール・ニュースレターは友好的なメディアで、ページを見るよりも個人的なユーザ体験を提供できる。
「つまみ食いユーザ」は重要ではないけれど、そんな彼らをいかに「常連」にするかがポイントということでしょう。「絞り込んだ的確な答え」から「こちらも参照」により関連するコンテンツに導き、アクションに繋げていく、こんな導線設計が必要だと思います。「こちらも参照」が活きているかどうかは、きちんとアクセス解析で検証しましょうね。
クリック課金の検索エンジン広告で、ムダなユーザにクリックされないようにする手法も紹介されています。これは良いですね。
・広告に商品の価格を入れる(そのサイトがハイエンド・ユーザ向けのものばかりを扱っているならば特に)。
・企業ユーザでないユーザがクリックしないように、B2B の業界用語を使う。(もちろん、B2C サイトならば話は別だ。)もし、企業向けの電話システムを 30 万ドルで売っている場合、安い長距離電話サービスを自宅用に探している人の 1 クリックに 2 ドル払いたくはない。
・無料や、安いサービスを探している人の検索結果ページに表示されないように、否定キーワードを使う。たとえば、「-free, -cheap」(-無料、-低価格)をキーワードリストに付け足す。ほとんどの企業の場合、"-sex, -porn, -nude"(-セックス、-ポルノ、-ヌード)も付け足しておいたほうがよいだろう。