2005年4月20日
Search Engine Strategies Conference & Expo 2005 Japan 基調講演レポート
本日午前中、有明TFTで開催されている「Search Engine Strategies Conference & Expo 2005 Japan」に行ってきました。Yahoo! JAPAN 検索企画室室長 井上氏の基調講演を聞いてきましたので、そのレポートをお送りします。
昨年、新宿で開催されたSearch Engine Strategies 2004と同じく、会場はあまり広くはありませんでした。しかし、参加している顔ぶれは増えていますし、何より参加者の数もかなり増えたのではないでしょうか。
「ライフエンジンとマイメディア」と題された基調講演の最初に、井上氏もそのことに触れられていました。「去年の倍以上に増えているのではないでしょうか」と。昨年の基調講演の時には、井上氏も客席にいて、ぼくも挨拶させて頂いたのですが、今年は壇上におり、IT業界のスピードを感じました。
以下、メモから箇条書きでレポートします。
ヤフーはYSTを採用してから1年経過していないのでサーチ1年生である。
■ライフエンジン
ライフエンジンとは、何をするにもいつもYahoo!、生活をより豊かにするものであり、Yahoo! が目指しているものである。
ライフエンジンが提供するのは、
・効率 目的のものをすぐに探せる
・つながり コミュニティ
・拡張性 いろいろな要求に応える
である。
「生活に関する情報源調査」 89項目のリサーチから、人がどうやって行動を起こすか調べたもの。
過去12ヶ月に知りたい、興味がある情報を探したり調べたりしましたか?
検索・天気・ニュース・地図 ヤフーでよく調べる
法事・葬儀・墓 行動しないしヤフーで調べもしない
口座残高・銀行 行動するがヤフーは使わない
ウェディング 行動しないがヤフーを使う
検索が使用されたのが38.8%で、その内Yahoo! が利用されたのは33.3%であった。こうしたことからも、ライフエンジンというコンセプトは欠かせないものとなっている。
■マイメディア
・私の趣味嗜好に基づくメディア
・私を私として扱ってくれるメディア
・私にとって有益なメディア
→個人個人を大切にする
サーチクエリーの分布図を紹介し、サーチクエリーが多種多様であることを示す。
・ランキングのトップ3,600で全体の18%
・1カウントクエリー/ユニーククエリー数=63%
つまり、その人しか入力しないクエリーが全体の63%を占めている
■ヤフーサーチの方向性
ビデオリサーチによる2005年2月の検索エンジンシェア。
Yahoo! 57.3%
Google 24.2%
MSN 8.1%
goo 2.9%
Biglobe 2.0%
その他 5.5%
↑方向性
■ Sharedサーチ 友達や同僚と知識を共有したい
■■ Personalサーチ 自分の情報を管理したい
■■■ Verticalサーチ 特定の分野で探したい
■■■■ Webサーチ 全般的なことを知りたい
→カバレッジ
・Webサーチ
YSTは2004年5月31日から。自社のテクノロジーで最高のサービスを目指す。
RCFPT(というコンセプト?)
Relevancy 関連性(順位)
Comprehensiveness 網羅性
Freshness 最新かどうか
Presentation 見た目、使いやすさ
Trust ユーザからの信頼
・Verticalサーチ
商品検索、知恵袋
旧来のサーチエンジンは、
・インデクスを引いてくるだけの一方通行
・ユーザのフィードバックはない
・誰がサーチしても同じ結果
・文章、アンカーテキスト、リンク等の統計処理
であった。
フィードバックのある検索エンジンになると、「Myサーチ結果」が得られるようになる。
・Porsonalサーチ
サーチ結果に自分のフィードバックが利用される。
・Sharedサーチ
自分だけでなく友人、同僚のフィードバックも利用される。
■Yahoo! のログインサービス
全サービス数は約80で、その内ログインを必要とするのは55である。2005年3月にログインしたIDは1,310万IDであった。
こうしたことから、日本でもっともPorsonal、Sharedサービスのポテンシャルを秘めた会社であると言える。
■Yahoo! 商品検索
ミッション:お買い物の入り口No.1を目指す
ECサイト全てを網羅したい
今日に合わせて機能拡張を行った。
・関連検索ワード
・価格絞り込み
・カテゴリー絞り込み
「商品検索!」と「!」を付けると、検索窓からサービスにダイレクトに。
商品検索のインデクスの仕組み
・ヤフーショッピング
・外部サイトのクロール(構造化されたページが重要)
・外部サイトからのフィード(TSV形式のファイルをサーバにアップロードしておく)
↑企業の新しいプロモーションになる
■知恵袋
ミッション:あらゆる「知りたい」に答える
・ユーザの質問から始まる
・質問者がベストアンサーを選ぶ→Q&Aの完成→Knowledge
・Webサーチ(他人中心)とは対極の関係にある知恵袋(自分中心)
→Webサーチはページ制作者の意図を読み解かなくてはならない
質問数:377万
回答数:1,429万
Knowledge:173万
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講演を聞きながら、Sharedサーチの方向性というのは、SNSと連携するのかな、と漠然と考えていました。似たような趣味嗜好を持っている人と情報を共有できるのであれば、検索の精度が上がるとも考えられます。
検索エンジンが莫大なトラフィックを生んでいる一方で、こうした個人にフォーカスした戦略を着実に歩んでいることも実感できました。
昨年の様子はSearch Engine Strategies 2004 Google基調講演レポートで。